読書いろいろ

2016年10月27日

高校二年生、文学最適年齢です!

ミヨッシーの長男(高2)から、「編集部の皆さんに質問があります」とご丁寧な依頼を受けました。

現在、教科書で漱石を読んでいるそうですが、心打たれたそうで、「今まで読んでいたピーーー(某人気作家・念のためお好きな方もいるでしょうから、伏字で)なんかとは全然違う。こういう本物の文学を読んでみたい。ぜひ、高校生男子におすすめの古典を教えてください」とのことでした。

こういう胸躍る質問、大歓迎です
若者が本物の文学に触れたいと思う気持ちも大歓迎だし、ピーーーじゃ物足りない!という素直な感想も、なんだか頼もしくてかっこいい。
俄然張り切って、何冊もお勧めしてしまいました。
「砂の女」とかで女性と地方社会の恐ろしさを学ぶのもいいし、「舞姫」は反面教師的に、豊太郎のようなくだらん男にならないよう学ぶには最適だし。
考えてみれば、うちの高校で「エリスごっこ」が流行ったのも高2でした。
(エリス=身ごもったのに豊太郎に捨てられたドイツ人美少女)
(エリスごっこ=「我が豊太郎ぬし、かくまでに我をば欺きたもうしか!」と叫び、その場にバタッと倒れる遊び)
高2くらいが、最初に文学としっかり向き合ういい時期なのかもしれません。


そんなアドバイスをした私のデスクには、今この2冊が。
ヤナッチに無理やり渡された妖怪紀行…たぶん「九州王国で妖怪特集をしたい」という遠回しの希望なんでしょうけど、いまだそれに気づかないふりをし続けております

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2015年05月28日

手紙を書くときもっとも大切なこと。(三島先生より)

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昨日読み終わったのが、三島由紀夫の「レター教室」。
いつもの三島作品とはガラッと色が異なり、すごくポップで読みやすい1冊です。
でも、本来の三島を知らずにこれを読んじゃうと、三島作品を誤解してしまう可能性がありますので、せめて「金閣寺」「豊饒の海」のあとくらいに読まれることをお勧めします。


大誤解を恐れずにいうと、「三島先生によるラノベ」とまで言えそうなくらい、読みやすくて人間模様も入り乱れて昼ドラ並みなのですが、そこはやはり大先生。
心の機微とか、ちょっとした表現が洒落ていて、やっぱりそこらの昼メロとは一線を画します。
手紙の書き方を指南する形で、物語が進んでいきます。


内容は読んでいただくとして、最後のあとがき部分で三島が問うた「では、手紙を書く上で最も大切なことは何か」が興味深かったです。

三島先生の回答。



・・・・・「宛名を間違えないこと」(笑)。



どんな名文を書いていても、どんな心を動かす手紙を書いていても、「三島由紀夫」が「三島由起夫」になってる時点で読む気が失せる、と
日本を代表する文豪からのアドバイス、「名前を間違えるな」です!



それを踏まえて、一昨日私に届いたこちらの手紙。

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私、「上田」なんですけど、より難しいレアなほうの「植田」にしていただいています
ま、でもこれはたまにある間違いなんですけど…

「月刊なかた編集室」は初めてですっ!!!!


ロングマフラーの結び方とか、カウス・ボタン師匠の私生活についてとか、いろんな「中田」の特集…してませんーっ


速達で届いてるくらいなので、急がれてたんでしょうね〜〜宛名見ただけで、エレベーターの中で爆笑してしまいました

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2015年03月13日

未来を予見した対談集

出張に行く車中で読み始めたこちらの本。

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開いてわずか20Pめくらいのところで、

「だいたい仕事というのは、衣食住の生産に関わるものを『仕事』というのであって、モノ書きとか歌唄いなんかは仕事じゃなくて遊びなんです。仕事が忙しいとか言うなってんです」

的な発言が司馬先生からありまして、まさに「物書きの仕事をしながら忙しがってる」私へのメッセージだろうか…と、出張への士気が下がりまくりそうだったので、そっと本を閉じました。
あとは寝倒して、目的地に到着(笑)。


仕事が終わった後の帰りの車中であれば心が折れずに読めるかも…と、再度開いたら、ちゃんとその後にフォローがありました。

「とはいえ、今からの時代には情報産業が最も重要な仕事になるかもしれない。農工時代は1950年ごろに終わり、黎明期を経て、これからは一見遊びと思えるものが情報価値を生むようになるかもしれない」


言葉はこの通りではないと思いますが、おそらくこんな感じのことが書かれていました。
この本、対談集なのですが対談が行われたのは1970年。なんと今から40年以上も前のものなんです。


出てくる時事は「この間の赤軍事件はねぇ〜」とか「今の佐藤内閣は〜」とか、確かに時代を感じさせるものなんですが、日本のこれからの課題や日本人の気質など、まんま今読んでも違和感がない。
さすがです、司馬先生。
というか、司馬先生と対談している方々がまた陳舜臣さん(←高校時代読みまくりました)とか、犬養道子さんとか、面白い方々ばかりで。もちろん手放しで賛成〜って内容ばかりではありませんでしたが、問題提起としては非常に面白い良書でした。


最初の20Pでくじけずに、もう一度開いて良かった(笑)。
そう、「遊んでるように見える仕事」が社会を明るくするのですよ!やる気出た!





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2014年06月02日

新訳・月と六ペンス

先週、大変尊敬している某社社長より、「これ、読んでみて〜」といただいたのが、こちらの本。

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サマセット・モーム「月と六ペンス」です。

「あ、これ、高校時代に授業だか予備校だかで、課題として読んだ気がします」って言ったら、「そうでしょ〜、学生時代に一度皆、通過する本だと思うけど、今回のコレは訳がすごく良かったんですよ。そして大人になって読むと印象がまた変わるから!」と言われ、楽しみに読ませていただきました。

新訳となっていますが、この金原瑞人さんという訳者は、あの芥川賞作家・金原ひとみさんのお父さんだそうですね。


私が若いころ苦しめられた2大欧州作家といえば、ベケットとモームでした。
ベケットは大学時代ですが、「ゴドーを待ちながら」を、毎回、「終礼の時間を待ちながら」(または眠気と闘いながら)授業を受けていました。
「こんなに何にも起こらない劇が、世間でウケるわけないじゃん!」と思ってたら、これが現代演劇の革命とか言われる、素晴らしい評価を受けた作品だと知って、自分の審美眼がないことを知らされました

そして、モーム。
こちらは通俗作家とか言われてるわりには、めっちゃ読みにくい、わかりにくい!と思いながら辞書首っ引きで読んでいたのですが、今回の新訳を読むと、まさに劇的に面白いメロドラマで通俗作家の真骨頂ここにあり!です。
こういうのを「通俗」と呼ぶことに、欧州の文芸レベルの高さを感じます。
あ、まあ、山本周五郎ラブな私からすると、日本の大衆作品もかなり素晴らしいとは思いますが。
・・・要は私、”大衆好き”なのかな
(でも最近の本屋大賞は受け付けられないのデス…。)

スノッビーではなく、かといって説教臭さもなく。
やっぱりあの社長らしい素敵な本のチョイスだな〜〜と思いました。

やはり良書選びは、自分の好みと合う人を探すのが一番近道のようです

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2013年10月03日

山崎豊子さんを偲んで。

もう、88歳になられていたのですね。
「白い巨塔」や「華麗なる一族」が私が生まれる前の作品と知り、改めてその世界観の普遍性に驚きました。

社会派と言われることも多いですが、私にとって山崎さんの作品は最高の「娯楽小説」でした。
「不毛地帯」「二つの祖国」「大地の子」という戦争三部作も、もちろん扱う題材は重いのですが、話の展開は(語弊を恐れず言うと)エンターテインメントといってもいいくらいの、ドラマティックで劇場型なストーリー。
本当に面白くて、彼女の作品はどれも大好きでした。
おそらく全作品を読んでいる唯一の作家さんじゃないかと思います。

高校時代、クラスメートの友人たちと、「ワイルドスワンのユンチアン、大地のパールバック、女の勲章の山崎豊子の3人を比べたら、圧倒的に山崎豊子の描く女像が生々しくて、腹黒くて、リアルだよね」と話したのを鮮明に覚えています。
なんという、達観した女子高生(笑)。
「女の勲章」とか「女系家族」とか読んでたからこんな大人になってしまったのか…


もう新作を読むことができないのかと思うと、本当に残念です。
心より、ご冥福をお祈りいたします。

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2013年06月25日

本小包

昨晩帰宅したら、大きな袋にぎっしりの本が届いていてびっくりしました。


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↑もしかしたら作品内容から、わかる人には送ってくださった方が誰かわかる可能性があるので、個人情報保護のためモザイクを。
福岡でご活躍の方のため、ウエダなんかと仲良くしていることがバレたくないかもしれませんので(笑)。



一緒に飲んでいるときに、「ウエダさんの書棚にはマンガとファンタジーが欠けている」との的確な判断をされ、即、送ってくださった模様。
代わりに私はいつもの山本周五郎&インドの短編集をお勧めしたのですが、インドの短編はさすが先方も既読済でした。
「あれは、良かったよね!!」と超意気投合しました。
まさかインド文学で意気投合できるなんて、びっくりです



この仕事をしていると、大人になってからのお友達が増えて嬉しいです。
しかも思考回路というか、知識欲が同じベクトルの友人が増える気がします。

ほぼ毎日にように新しい出会いがある仕事ですが、一期一会の精神だけで満足せずに、いただいたご縁をしっかりと大切にしていきたいと思います。

今日も、2人も新しい素敵な方々と出会えた、いい一日でした


両者お気に入りのインド系文学↓


停電の夜に (新潮文庫)停電の夜に (新潮文庫) [文庫]
著者:ジュンパ ラヒリ
出版:新潮社
(2003-02-28)



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2013年06月19日

最近読んだ男前な本について。

ブログを読んでくださっている方から、「読書リポートをもっとしてください」というメールをいただきました。
ありがとうございます、私のこの超偏りのある読書歴を好んでくださって
本は嗜好品なので、人それぞれだとは思うんですけどね。

「ウエダさんの本を選ぶセンスは男前です」と、奇しくも先週某社部長にも言われたばかりなので、ここ1週間で読んだ男前本をいくつか。

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後ろのは、九州王国ネタを探しつつ読んだ「宮本武蔵の真実」。
吉川英治が作りだした宮本武蔵像が強すぎて、本来の武蔵とはかけ離れているのでは?と書かれた一冊でした。

歴史上の人物って、多かれ少なかれそういうとこありますよね。
坂本竜馬だって、日本国民の8割が頭に描くのは司馬遼太郎が書き上げた姿ですし。

ということで、手前はその司馬先生の短編集。
表題作の「王城の護衛者」は、会津藩主・松平容保が主人公の一遍でした。
現在の大河ドラマで、オリエンタルイケメン・綾野剛さんが演じられている殿様ですね。

これはすごく良かったです。容保の誠実な人物像が生き生きと描かれていました。
やっぱり幕末の男を書かせたら、司馬さんの右に出る者はいないですね。



そしてこれを読んだら、司馬遼太郎の頭の中が知りたくなって、こちら。

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山村雄一さんという医学博士の方との対談集。

いやこれは、久々に読んでいてゾクゾク&ワクワクするほどの、良書でした。
このお二人の博識っぷりもさることながら、物事の考え方が非常に原理原則に基づいていて、人間や宗教や科学など、真理を深くえぐっているのです。
ものすごく賢いのに、賢ぶってない、美しい対談集。
関西人同士なので、上手に笑いを加えつつ、会話のテンポもいい。
何より、司馬遼太郎目当てだったのに、山村先生の頭の良さに惹かれました。

あ、また熱いれて語っちゃった。男前って言われる…




↓アフィリエイト的なものはしていないので私には一円も入りませんが(笑)、ご興味ある方はどうぞ〜。

人間について (中公文庫)人間について (中公文庫) [文庫]
著者:司馬 遼太郎
出版:中央公論社
(1996-12)



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2013年05月24日

遠藤周作考

kindle生活に入ってからというもの、本屋で出逢わない古い作品にたくさん&手軽に会うことができて嬉しいです。

いつか特集を組みたいな〜と思っているペトロカスイ岐部について調べていたら、「王国への道」という遠藤周作の作品と出逢うことができ、興味深く読みました。

王国への道―山田長政 (新潮文庫) [文庫]


主人公は山田長政で、岐部は長政とは正反対の人物として描かれています。
作品自体はとても面白い歴史エンターテインメントだったのですが、どことなく遠藤らしさが薄いかな…と思いつつ読み終わり。(ちなみに私が一番好きな遠藤作品は「深い河」です)。
読後に、「遠藤周作その他の作品」とずら〜っと画面に出てきた中から、まだ読んでない一冊を適当に選んでダウンロードしてみました。

適当に選んだ一冊。
これが、運命の出会いでした。


もう、すごい、としか言いようがない。
なんとも言えない「遠藤ワールド全開」で、心の奥底にものすごく突き刺さる作品でした。
話は、あの「海と毒薬」の主人公のその後なのですが、重くてつらくて深くて、久しぶりに読後に放心状態となってしまい…。
危うく、博多駅を通り過ぎるところでした (電車の中で読む本ではありません)
こちら↓

悲しみの歌 (新潮文庫) [文庫]


自己啓発本とかで簡単に答えを導き出そうとしている就職活動中の学生さんや新卒の方々に言いたい。
直球で教えてくれる真理には、単純な答えしか含まれていないと思います。
私も同じタイミングでもう一冊、ベストセラーの某ビジネス書的なものをダウンロードして読みましたが、「悲しみの歌」で受けた衝撃に比べると、なんと薄い内容か…。
一冊の本に対して、さまざまな捉え方や考え方が生まれる書物こそが、長く読み継がれるものなのでしょうね。

読後の虚無感は半端ないですが、それを補って余りある「読書の素晴らしさ」を久しぶりに味わった一冊でした。


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2013年04月11日

来年の大河ドラマの主人公

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黒田官兵衛、読み終わりました。

今年&来年には九州王国・はかたともに特集をしないといけない人ですからね。
着々と準備を進めております。
福岡市も予算計上をしたようですが、ドラマ館は姫路に建設されるそうですね。
龍馬のときも彼一人で高知&京都&長崎&鹿児島が潤いましたが、官兵衛も少なくとも姫路&福岡が喜んでいるので、こういう動きのある人のほうが経済効果は高そうです。


弊誌ももちろん「乗っかり特集」を考えております。
他とはちょっと違う、うちらしい官兵衛特集にしたいなぁと思っています。

…と言いながらも、まだ八重さんが始まって4か月ですけど(笑)。
気が早すぎる??

ちなみに官兵衛さんは、「如水」の号のほうで博多ではよく知られているかもしれませんが(銘菓もあるし!)、この号は「水は方円の器に従う」という意で名づけられたそうです。
四角い器にも、丸い器にも、どんな器にも水は応じられるということでしょう。
官兵衛さんらしい、素敵な雅号です。


まだまだ関連書籍を何冊か読もうと思っていますが、すでにこの一冊ですっかり官兵衛さんファンになってしまいました。
男性として、ものすごく魅力的なんですよ〜〜
女性陣の皆様、要チェックです。




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2013年02月22日

昭和史を学ぶなら、こんな一冊はいかが?

中学・高校とちょっと特殊な教育環境にあったためか、日本史の知識が小6までで止まっている私。
センター試験も世界史で受けたため、日本史の基礎知識が欠落しています。

そんな私に幕末史を教えてくれたのは司馬遼太郎だったし、キリシタン大名を教えてくれたのは遠藤周作でした。
もちろん、偏りや主観が思いっきりはいった「半分フィクションの歴史」とわかっていても、小説から学ぶのは教科書からとは全く違う楽しさと驚きがあります。

今回、久々に「良書!!」と感動できる作品に出逢いました。


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柳田邦男の「マリコ」。

軍部を批判し、戦争回避に奔走した一人の日本人外交官とそのアメリカ人妻、そして二つの祖国に人生を翻弄される娘・マリコ…という、一つの家族の物語です。

家族愛・夫婦愛の絆の強さにも涙したのですが、それ以上に、この一冊を通して当時の日本とアメリカが置かれていた状況や、現場の臨場感などがしっかりと伝わってきて、昭和史を学ぶという点からも非常に興味深い作品でした。

もちろんすべてが真実とは限りませんが、「どこまでが真実なのか」を考えながら読むのも、大人の読書の楽しい点ですよね。
(教科書を手にしていた時代は、『すべてが真実!』と思って読まなくてはいけませんでしたから)。


やはり読書は、「読みやすい本」ではなく「読んだあと心に残る本」を選びたいな、と改めて思いました。


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